生産緑地の評価

税理士・不動産鑑定士の説田です。

税理士法人BLUEのホームページにご訪問くださいましてありがとうございます。

立冬を過ぎましたが日中はまだ暖かい日が散見されます。が、朝晩は冷え込み、徐々に冬に向かって行くのでしょうね。

今回は生産緑地の評価について触れて参ります。

(生産緑地の評価)

生産緑地(生産緑地法(昭和49年法律第68号)第2条≪定義≫第3号に規定する生産緑地のうち、課税時期において同法第10条≪生産緑地の買取りの申出≫の規定(同法第10条の5に≪特定生産緑地の買取りの申出≫の規定により読み替えて適用される場合を含む。以下同じ。)により市町村長に対し生産緑地を時価で買い取るべき旨の申出(以下「買取りの申出」という。)を行った日から起算して3月を経過しているもの以外のものをいう。以下同じ。)の価額は、その生産緑地が生産緑地でないものとして本章の定めにより評価した価額から、その価額に次に掲げる生産緑地の別にそれぞれ次に掲げる割合を乗じて計算した金額を控除した金額によって評価する。

(平3課評2-4外追加、平16課評2-7外・令2課評2-21外改正)

(1) 課税時期(相続または遺贈の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)において市町村長に対し買取りの申出をすることができない生産緑地

この場合は、課税時期から買取りの申出をすることができる日までの期間に応じて、それぞれ次のとおり割合が定められています。

(2) 課税時期において市町村長に対し買取りの申出が行われていた生産緑地又は買取りの申出をすることができる生産緑地

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【概要】※国税庁タックスアンサーの解説(一部抜粋)

市街化区域内にある農地などが生産緑地地区に指定されると、その生産緑地について建築物の新築、宅地造成などを行う場合には、市町村長の許可を受けなければならないこととされています。さらにこの許可は、農産物などの生産集荷施設や市民農園の施設などを設置する場合以外は、原則として許可されないことになっています。

生産緑地については、このような制限がある一方、「買取りの申出」の制度が設けられていて、生産緑地の指定の告示の日から起算して30年を経過する日(以下「申出基準日」といいます。)以後、またはその告示後に農林漁業の主たる従事者が死亡した場合などには、生産緑地の所有者は、市町村長に対してその生産緑地を時価で買い取るべき旨を申し出ることができることになっています。

また、申出基準日までに特定生産緑地として指定を受けた場合には、買取り申出ができる時期が延期され、申出基準日から起算して10年を経過する日(特定生産緑地の指定の期限の再延長をしたときは、その再延長後の期限が経過する日)以後、または農林漁業の主たる従事者が死亡した場合などにおいて、特定生産緑地の所有者は、市町村長に対してその特定生産緑地を時価で買い取るべき旨を申し出ることができることになっています。

【計算方法・計算式】

生産緑地の評価については、次のとおりです。

生産緑地(特定生産緑地を含みます。以下同じです。)の価額は、その土地が生産緑地でないものとして評価した価額から、その価額に次に掲げる生産緑地の別に、それぞれの割合を乗じて計算した金額を控除した金額により評価します。

(注) 被相続人がその生産緑地の主たる従事者の場合は、(2)の「買取りの申出をすることができる生産緑地」になります。

これを算式で示すと次のとおりです。

(算式)

(1) 課税時期(相続または遺贈の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)において市町村長に対し買取りの申出をすることができない生産緑地(前述の通り)

(2) 課税時期において市町村長に対し買取りの申出が行われていた生産緑地または買取りの申出をすることができる生産緑地(前述の通り)

国土交通省のHPを拝見すると、下記の様な制度となっております。

【生産緑地制度】                                   

○市街化区域内の農地で、良好な生活環境の確保に効用があり、

 公共施設等の敷地として適している500㎡以上*1の農地を都市計画に定め、

 建築行為等を許可制により規制し、都市農地の計画的な保全を図る制度です。

○市街化区域農地は宅地並み課税がされるのに対し、生産緑地は軽減措置が講じられます。          

  *1 市区町村が条例を定めれば、面積要件を300㎡まで引き下げることが可能。

○ 平成29年5月に生産緑地法の一部が改正されました。

  改正の主な内容は、下記のとおりです。

  1)生産緑地地区の面積要件(500㎡以上)について、

   市区町村が条例により300㎡以上に引下げ可能としました。

  2)生産緑地地区内において、農作物等加工施設、農作物等直売所、農家レストランの

設置を可能としました。

  3)生産緑地地区の都市計画決定後30年経過するものについて、

   買取り申出可能時期を10年延長できる特定生産緑地制度を創設しました。

生産緑地の制度が始まったのは1991年、バブルの絶頂期です。不動産投棄が過熱すると土地の価格上昇と共に農地価格も上昇し、宅地化や相続による物納等で農地自体が失われる危機にあったため、政策的な配慮があったと思われます。しかしまもなくバブルが弾けて、当時の必要性が現在はやや希薄になった気もします。

2022年、生産緑地の多くがその期限となる30年を迎えます。所謂“2022年問題”と呼ばれています。現在の制度では、期限を迎えた生産緑地は、所有者から申し出があった場合、市区町村が買い取りをして有効活用するのが原則です。しかし、ほとんどの自治体が財政的な余裕がなく実行はされていない様です。

生産緑地どうなって行くのでしょうか?

次週も宜しくお願いします。

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